労使トラブル相談

使用者と労働者は考え方の相違がいっぱい


使用者(経営者)と労働者(従業員)は、意見が異なり問題になることが多々あります。
でもこれはしかたのないことです。 なぜなら、使用者(経営者)と労働者(従業員)ではそもそも仕事に関する考え方が違うからです。 使用者(経営者)は会社を成長させることを第一に考え、労働者(従業員)は自分の利益を害しないようにすることを第一に考えます。 これはお互いの立場が違う故の問題であり、どちらの考え方も間違えではありません。

以下によくある事例を記載してみました。
皆様のご参考になれば幸いです。


トラブル1、不当解雇と言われた



経営者Aさんは、自社の従業員であるBさんが1週間連続で無断欠勤をした為、即時解雇しました。
すると後日、就業規則に記載のない理由で解雇するのは不当解雇にあたるとして、 解雇予告手当支払いを求める内容証明が届きました。 経営者Aさんは、従業員Bさんが悪いのになんでお金を支払わなくてはいけないのかと困っています。



労働基準法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして、無効とする」という様に規定されています。
これは逆に考えると、解雇に相当する理由があれば解雇しても問題ないととることが出来ます。
しかし判例では、「就業規則に記載されていない理由で従業員を解雇することは出来ない」となっています。 判例は法律と同じ効力をもっています。

つまり、解雇に相当する理由があっても、その理由が就業規則にない場合は解雇することが難しいということになります。

また、従業員を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告をするか、 最高で30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなくてはなりません。
但し、解雇理由が以下の場合は解雇予告手当なしに即時解雇が可能です。
 @天災事変その他やむを得ない事由の為に、事業の継続が不可能になった場合。
 A労働者(従業員)の責に帰すべき事由(懲戒に相当する理由)に基づいて解雇する場合。



結論から言えば、この場合は解雇予告手当を支払う必要があるでしょう。
無断欠勤で解雇に相当する理由となりうるには、労働基準監督署は最低14日以上の日数が必要だとしています。
しかし、この事例では
 @無断欠勤の日数は1週間である
 A就業規則にも無断欠勤による解雇の規定がない
ことから解雇予告(手当)なしに解雇することは難しいことになります。

この事例で、どうしても解雇予告手当なしに従業員を辞めさせたいのであれば、解雇するのではなく退職勧奨をお勧めします。 退職勧奨した結果、従業員が退職をした場合は自己退職になり解雇にはあたりません。
退職勧奨に応じない場合は、致し方ありません。 就業規則に解雇理由を記載していないという会社側の落ち度もある為、 従業員の配置転換等でこれ以上会社に被害が及ばない努力をしたほうが良いでしょう。

それと、就業規則の改定も忘れてはいけません。 改定をしておくことにより、新たに似たようなの問題が発生した時にも対処することが出来ます。


トラブル2、退職後にボーナスを請求してきた



Aさんは、B社でも屈指のエリート営業人です。
そんなAさんは、12月5日をもってB社を自主退職しました。

B社のボーナス支給日は毎年12月10日とされています。
就業規則には、「6月から11月までのそれぞれの功績を考慮した上で、ボーナス支給額を決定し12月10日に支給する」と規定されています。
また、「12月10日時点で、当社に在籍していない者にはこの限りではない」とも規定されています。

B社は、Aさんに対して12月10日に在籍していなかったのだから、就業規則にある通りボーナスは支払わないとしました。 ところがAさんは、ボーナス査定対象期間の6月から11月まで従業員として会社に貢献したのだから、ボーナス支給日に在籍していないからといって ボーナスを支給しないのは不当だと、ボーナスを請求してきました。

B社は、Aさんに対してボーナスを支給する必要があるのでしょうか?



判例では、「賞与(ボーナス)支給日に会社に在籍していない者には、賞与を支給しない。」という就業規則は有効としています。



判例は、法律と同じ効力をもっています。
つまり、判例で認められている以上、B社側はAさんにボーナスを支払う必要はありません。

但し、ボーナス支給日が12月10日であることを理由に、B社側がAさんの退職日をそれ以前に強制した場合は、 支払わなければならなくなることもあります。



トラブル3、残業代を支払ってくれない



Aさんは、B社に入社して2年になります。
仕事は沢山ありとても定時で終わらせられる量ではなく、毎日残業を余儀なくされています。
しかし、残業代は一切支払われたことがなく、慣例なのかそのことについて誰も社長に何も言いません。 中小企業だし、今ここで何か言ってクビにでもなったら、残業代どころか仕事すらなくなってしまうと ほどんど泣き寝入り状態です。



労働基準法上、サービス残業という言葉はありません。
労働者は、労働した分の対価として賃金を受け取る権利があります。
また、法定労働時間(1日8時間又は1週間40時間)を超えて労働した場合は、 通常の賃金に2割5分以上、5割以下の範囲内で計算された割増賃金を受け取る権利もあります。

また、未払いの賃金(残業代等)は、2年前までさかのぼって請求することが可能です。



労働基準法上、使用者(社長)と労働者(従業員)の立場は同等としています。 その為、社長に労働した分の賃金(残業代)を請求することは当然であり、なんら気にすることはありません。

と、言いたいところですが、現実社会は法律通りにはいきません。
労働基準監督署に報告し法律を盾にすれば、残業代の請求は当然に通ることになるでしょう。
しかし、社長も人間です。感情があります。
直接的(※)なことはないかもしれませんが、その後のAさんへの風当たりが強くなることは免れられないでしょう。 その結果、会社にいずらくなり辞めるはめになるかもしれません。
(※)従業員が労働基準監督署に報告したことによる、解雇や不利益な取り扱いは禁止されています。

サービス残業はよくある話であり本来あってはならないことなのですが、 この問題を円満に処理するのは大変難しいことです。

出来る限り円満解決出来るように、労働基準監督署または弊社にご相談下さい。


トラブル例4、有給休暇がない



Aさんは、B店で従業員として働いて3年になります。
ある時過労がたたって病気になり、1週間の入院を余儀なくされました。 やっと退院が出来て、職場復帰もはたし安心していたところ、給与が振り込まれてびっくり! 入院していた1週間分のお金が給与から差し引かれていました。
入社して3年間今まで一度も休んだことがなかった為、B店には有給休暇がなかったことをその時初めて知ることになりました。



年次有給休暇の付与要件
『雇い入れの日から計算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日与えなければならない。(※)』 とされています。
この年次有給休暇は、労働者(従業員)の請求や使用者(経営者)の承認等により発生するものではなく、法律上当然に発生するものです。
(※)法律条文を分かり易く記載しています。



労働基準法では、年次有給休暇は法律上当然に発生するものとなっています。
Aさんは6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤している為、B店側がなんと言おうが当然に年次有給休暇は発生します。
つまり、入院していた1週間を年次有給休暇として処理してもらい、1週間分の給与を請求することが可能ということです。

また、意外と知られていないのがパートタイマーにも年次有給休暇があることです。
パートタイマーの場合には、労働時間や労働日に応じた年次有給休暇が発生します。

もし、使用者(経営者)がこれを拒む場合は、労働基準監督署または弊社にご相談下さい。


労使トラブルで困ったら弊社へ


以下のようなことで困っている使用者(経営者)の方
・不当請求してくる従業員
・やることをやらず文句ばっかりいってくる従業員
・解雇したい従業員がいる
 etc

以下のようなことで困っている労働者(従業員)の方
・法律を一切無視して不当労働を強いてくる
・残業代を支払ってくれない
・所定休日や有給休暇がない
 etc

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労使トラブルは、当事者で解決を図ろうとした結果、問題が大きくなることも少なくありません。
弊社と一緒により良い解決の道を探しましょう。



 

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